時代が進んだとはいえ、試験場にパソコン持ち込みを許可した話は聞いたことがありません。結論を先に書けば、受験勉強にパソコンは不要と断言します。これは、受験生を抱える親へのアドバイスになりますが、若者にとってパソコンは、刺激のある遊び道具でもあります。朝から晩まで、メールやチャットをはじめゲームなどに夢中で、勉強どころではない人もいます。よほど自制心の強い子でない限り、安易にパソコンを与えるのは考えものでしょう。インターネットなどで、欠かせない物ならば、家族共用に居間などに置き、少なくとも受験勉強の妨げになる子供部屋からはパソコンの排除を勧めます。受験期にパソコンを封印したからといって、子供の将来に支障など生じません。若者にとって、パソコン操作は難しいものではなく、早期教育など必要としません。ただ、個人用に与えている場合は、話し合いが必要で、問答無用で取り上げると、ヘソを曲げて受験勉強を投げ出す子供もいますので、逆効果にならないよう注意を払ってください。受験に大事なのは、知識の蓄積。そのことを納得させれば、受験期に限定した排除など、何の問題もありません。
多くの中学受験生の親は、私立中学、中高一貫教育が万能のような気がしていることと思います。確かに、難関大学合格実績においては中高一貫校が圧倒的に優位であることは間違いありません。また、高校受験のための勉強に時間を取られなくてすむ分、勉強を深められる、いろんな経験をする機会が用意されている、生活指導面でもていねいに配慮してくれる……など、中高一貫教育には優れた点がたくさんあります。しかし、中高一貫校に属しさえすればすべてOKなのではなく、中高一貫教育の良さを活かせるかどうかは、あくまで本人・家庭次第だということです。ある完全中高一貫校(高校からの募集はない)の校長から相談されたことがあります。「併設高校には、中学で入学した生徒のうち五〇人前後が進学してこない。この生徒の分の授業料収入がないと経営的にも厳しいので、高校募集を再開しようかと考えている、どうだろうか」というものでした。この学校は偏差値が低くて生徒募集に苦しんでいる学校ではありません。第一志望で入ってくる生徒も大勢いる学校です。
人間は社会に役に立つようにできている。だから、自分は何に役に立つかを大学で発見する。大学では良い仲間と出会うことも大切である。良い仲間がいると「考える」ことを学ぶ。大学では何よりも考えることを学ぶのだ。そして、考え方を身につける。考えることを身につければ、社会で生きていける。社会で生きていくためには物事を見るときの切り口とか視点が大切になる。大学では視野を広げる努力をすることが大切なのだ。人間としての基礎をつくるのは若いときである。大学は専門を学ぶだけのところではない。大学では人間の基盤をつくる。野球をするのには、まず基礎体力をつくる。バットを振るにも基礎体力がものをいう。基礎体力をつくるトレーニングより試合をするほうが面白いかもしれないが、基礎体力がなければ野球の選手にはなれない。テニスが面白くなるのは、テニスがわかりだしてからである。はじめからテニスが面白いのではないだろう。学問も同じだ。